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2003年10月30日

第六大陸 2

1巻に続いて2巻。 これが完結編。
順風満帆かと思われた第六大陸計画。しかし、徐々に歯車が狂い始める。 NASAという競争相手の出現。国際法の壁。偶然による事故と、失われる命。 そして、妙の父親によるELE社の第六大陸からの離脱。
肉体的・精神的に追い詰められる妙。 明らかになる、妙が第六大陸を推し進めた真の理由。そして……。

リアリティあふれる描写はこの巻も健在。 ですが、この巻では、1巻よりも登場人物たちの心情や葛藤、 といったものがより前面に出ています。 特に、妙の孤独感、無力感が徐々につのっていく様は読者を引き込むのに十分。 それを乗り越える場面も感動的です。
1巻で目立たなかった主人公、走也も今回はなかなか大活躍。 っていうか、この人、人善すぎ(笑)。 一度は妙の事が分からなくなり、離れてしまうのですが、 結局、一番大事な時に妙のそばにいるし。

そして、一度は挫折しかけた第六大陸計画を支えたのは、 数多くの名も知れぬ人たちの、月への夢でした。 この、困難を情熱で乗り越える、という展開、やっぱり大好きです。 夢があればどんな場所へも行ける。そんな作者の想いが、作品からビシビシと伝わってきます。

だからこそ、最後に出てきたあれは、少し残念でした。 今までその頭脳と情熱で、自分たちの力で解決してきた登場人物たち。 でも、最後に出てきたのは、人の力の及ばぬ、「奇跡」でしたから。
2巻という枠に納めるためにはしかたなかったのかもしれませんが。 全3巻ぐらいにしたほうが良かった気もします。 いっそ、ライフワーク的超長編とか(笑)。
それでも、やはり読む価値のある作品だと思います。 確実に面白い作品ですから。

最後に。事故により命を落としたある科学者の最後の言葉を──。
「止まるな、行け、どこまでも!」

「第六大陸 2」小川一水 著[早川文庫] 2003年8月31日初版発行 定価\680
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