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2012年4月 4日

屋上の百合霊さん 1周目クリア直後の感想

 ライアーソフトから発売された、百合アドベンチャーゲーム(18禁)。
 非常に珍しい、百合エロゲ、ということで注目していた人も多いかと思います。
 とりあえず、1周クリアまでしたので、感想などを。

 と、その前に。
 このゲーム、相当に、人を選ぶ作品だと思います。
 百合、という時点でかなりニッチなわけですが。

  • 「百合」は好きだけど「レズ」は嫌い、という人
  • 出てきた女の子は全員攻略できないと嫌な人
  • ヌケなきゃエロゲの意味は無い、と考える人
  • ゲームは難易度が高ければ高いほど燃える人
  • 少しでも欠点のあるものはプレイしたくない人

は、このまま回れ右してお帰りになったほうが、時間を有効に活用できるかと思います。
(なお、ネタバレはできるだけ避けるように書いたつもりです)

「百合」を主題にした、青春群像劇

 あらすじは、オフィシャルサイトのものを読んでいただくとして。

 百合......というか、恋愛物、だと思い込んでると、このゲームはピンと来ないんじゃないかな。
 もちろん、恋愛模様も描かれるし、それが主題ではあるのですが。
 一番の見所は、話を進めていくうちにだんだんと広く、深くなる人間関係そのものだと思うんですよ。

 最初の段階では、登場人物の多くは、お互い面識が無い(あるいは、無いと思われている)のが、主人公の結奈を通して、あるいはその他のキャラを介して、知り合いになり、友達になっていく。そして、人とのつながりが、登場人物たちを動かし、変化していく(成長、と言ってもいいかもしれない)。
 そんな、少女たちの物語こそが、このストーリーの醍醐味であると思います。

 システム的にも、結奈を主人公としたメインストーリーだけでなく、別キャラ(カップル)視点でのストーリーが随所に挿入される、という形になっています。
 結奈が見ていないところで起きた出来事や、同じ出来事を結奈とは別の視点でみることが出来ます。

 ちょっと思い出したのは、「マリア様が見てる」シリーズですね。
 あれも、祐巳という主人公はいますが、特にシリーズ後半では、祐巳以外のキャラの視点で描かれた話がいくつか出てきます。中には祐巳の全く出てこない話も。
 それでも、そういった話を含めて「マリみて」というシリーズを構成している。そんな作りによく似ています。

 あと、部活、というのが大きい要素として描かれていたのも面白かったです。
 結奈自身は帰宅部ですが(そして、なぜ帰宅部を選んだのかというのも、作中できちんと描かれています)、他のキャラは、部活に属している人が結構多い。運動系だけでなく、文科系の部活も。
 自分も、わりとマイナー文化系部活やってたので、なんというか、当時のこといろいろ思い出したりして。特に桐ルートで、来る人はいるんじゃないかと思います。


好きだから、迷う、悩む、すれ違う、愛し合う

 作中ではいくつものカップルが出てきますが、どれも、簡単にカップルになるわけではありません。
 立場の違いで悩んだり、気持ちの伝え方に迷ったり、「好き」という気持ちになること自体に戸惑ったり。好き合ってるのに気持ちがすれ違う、なんてことも。
 そういった、揺れる心が丁寧に描写されていて、それでいて文章自体はテンポ良く読みやすいので、キャラクターに感情移入しやすいです。

 そして、心地よいのが、どのキャラも、そういった悩みと真剣に向き合っていること。それが、この作品のキャラの魅力となっていることは間違いありません。

 そうして、さまざまな悩みを乗り越えて、幸せになっていく過程は、読んでいるプレイヤーも幸せな気分にしてくれるに違いありません。

 さて、このゲーム、18禁ということで、当然ながらHシーンがあります。
 これがまた、なんというか......すごい、幸福感で満たされるんですよ。

 Hシーンの数は多くないですし、しかも、描写としてはかなり薄いです。なにしろ、モザイク無し(笑)。無修正、というわけではなく、その部分が見えない構図になってるんですよ。

 ですが、まず、そういうシーンへの入り方が丁寧。二人の気分が高まっていく様子が読んでいて手に取るように分かって。
 そして、二人で、文字通り手探りで、お互いのことを愛し合う。ほとんどのカップルが初体験、ということもありますが、変にいやらしさを強調した態勢とか、セリフとかはまったくと言っていいほどありません。

 それでも、そこに至る頃にはすっかり感情移入している事もあって、ドキドキ感がすごいのです。体も気持ちいいけど、それ以上に心が気持ちよくなっている、そんな感じ。
 このあたり、単に男女のセックスを性別変えただけでは無い、女性同士ならでは愛し合い方という感じがしました。

 ストーリー重視のエロゲで、「Hシーンいらない」というようなことを聞くことがあります。確かに、このゲームも、スキップ(抱きしめ合う→朝チュン、のような)しても違和感はまったく無いでしょう。ですが、二人に感情移入しているなら、是非とも二人が幸せになる瞬間を、しっかりと感じ取って欲しい、そう思います。

 個人的にに印象的だったのは、放送部の二人(誰と誰かはナイショ)と、桐と月代ちゃんのシーンですね。あんまりエロゲはプレイしていない、ということもあるのでしょうが、他のゲームであんなにドキドキした記憶はちょっとありません。


まとめ

 とまぁ、かなり手放しで褒めてしまいましたが、欠点ももちろんあります。
 シナリオは基本的に一本道だし、グラフィック(特に背景)は、それほど高いレベルではありません。パートボイスというのも、今時のゲームとしては見劣りする部分でしょう。
 しかし、そういった点を差し引いても、百合作品としてすばらしい出来であると言えます。
 値段は高いし、18禁と言うことで手に取りづらい、という人もいるかと思いますが、女の子たちの揺れる心、そしてさわやかな青春を味わいたければ、是非とも手にとって頂きたいと思います。

 それにしても、百合ゲーって、数が少ない割には印象深い作品が多いですよね。
 数が少ないからこそ、製作者が本気を出してきているのでしょうか。

 さて、これからアナザーシナリオやってきますよ。
 フルコンプしたら、またなにか書いてみたいと思います。今回は、キャラごとのネタバレ要素についてはあまり含めなかったので、そのあたりも書けたらいいな。


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