ガンパレード・マーチSS
よいこのめいさくどうわ 赤ずきんちゃん

「舞だ。赤ずきんをやっている」









「今、似合ってないなどと思ったな!」
 言うや否や、赤ずきんちゃんは、どこからとも無くサブマシンガンを取り出して全力射撃を行いました。重く荒い発射音と薬莢の落ちる音が響き渡ります。

− しばらくお待ちください −

「うむ、芝村ともあろうものが見苦しいところを見せてしまったな。謝罪する」





「芝村がこうして頭を下げておるのだ! 何とか言ったらどうだ! ……おぬしの反応、ヘンすぎるぞ……」





「……ばかもの……私とて似合わぬと思っている……。だが、作者がこういう設定にしてしまった以上仕方あるまい……」
「ところで今回の任務だが」
「うわぁっ! い、いつからそこにいた、従兄弟殿?」
「最初からだ」
 顔を真っ赤にする赤ずきんちゃん。身内に芝村らしからぬところを見られたのです。当然でしょう。
「おばあさんが一人、敵支配地域で孤立している。いや、そうなる予定だ。貴様の目的はこの人に食料を届けることにある。」
 さすがは準竜師も芝村です。取り乱すことなく、淡々と必要なことだけを話します。……靴下がらみじゃないですからね、今回は。
「わかった、まかせるがよい」
 赤ずきんちゃんも落ち着きを取り戻したようです。
「よし、さっそく準備しておけ」

 一方そのころ。
「よ、おばあちゃん。調子はどうだい?」
 阿蘇特別地域の小屋の中で、おばあちゃんはベッドに横になっていました。なんだかぽややんとしたおばあちゃんです。
「ああ、瀬戸口君」
「差し入れだぜ。今日は誰も来てないんだな」
「うん、みんな忙しいからね……」
「よしよし。さびしかっただろう」
 そう言って、瀬戸口はおばあちゃんの黒い髪をくしゃくしゃとかき回しました。
「ちょっと、やめてよ……子供じゃないんだから」
 苦笑いをするおばあちゃん。
「……って、ちょっと、どこ触ってるの!」
 焦るおばあちゃん。
「いや、なに。今回、俺、狼の役なんだ」
 照れながら話す瀬戸口、もとい、狼さん。
「せっかく二人きりだしな。楽しもうと思って」
「あっ、ちょっと……壬生屋さんが来ても知らないよ」
「ああ。あいつなら、『整備員詰め所のベッドで茜と滝川がプロレスごっこしてるぞ』って言ったらすごい勢いで飛んで行ったからな」
「じゃ、じゃあ、ののみちゃんは」
「今、中村とクッキー作りの練習中だ」
 意外と計算づくです、狼さん。
「ちょ、ちょっと……やだ……やめてよ……」
「どうだい。俺の手、なかなかいいだろう。歴戦の勇士、ってとこかな。もっとも、わっ!」
 と、おばあちゃんの体を弄繰り回していた狼さんの体がびくっと震えました。
「驚いた? 案外ウブなんだね。耳に息吹きかけられたぐらいで。次はどこがいい?」
 見ると、おばあちゃんの顔からは、ぽややんとした雰囲気が消え去って、どこか近寄りがたい雰囲気が漂っていました。強い光をたたえた瞳。世界を叩きつぶすことのできる微笑み。そして、どこまでも蒼い髪。
「どうも、君は、僕があんまり気付きたくない本性に気付かせる行動をとるね。……出来るなら、一生気付きたくなかったけどね。まあ、気付いたのは仕方ないから、スルけど」
「す、するって……あっ!」

 こうして、狼さんはおばあちゃんに食べられてしまいました。

 しばらくして。
 コンコン。おばあちゃんの家のドアがノックされました。
「私だ。入るぞ」
「や、やぁ、赤ずきん。いらっしゃい」
「……起きていて大丈夫なのか?」
「うん。今日は調子がよくってね」
「その割には、ずいぶんと汗をかいているようだが」
「ほ、ほら。今日暑いから」
「……現在の気温は17℃。湿度は25%。暑いとは言えない数字だと思うが」
「ま、まぁ、あんまり気にしないでよ」
 おばあちゃん、極上の笑顔。
「ぅ、うむ……まあよい。ところで、食料を持ってきたのだが」
「ああ、ありがとう。嬉しいよ」
「ジャガイモ60Kgに、焼きそばパン、クッキー、スイカ、コーラ、たいやき、納豆、肉まん……。まったく、人を宅配便扱いしおって、勝吏の奴め……」
「でも、美味しそうだよ」
「うむ。何か食べるか?」
「ううん。今はおなか空いてないから……。それより、別のものが食べたいな」
 またもやおばあちゃん、極上の笑顔。
「別のものとは……。だいたい、今、『おなかは空いていない』と言ったばかりではないか」
「うん、おなかは空いてないんだけどね。ほら、目の前に美味しそうな物があるから」
 おばあちゃん、笑顔のまま赤ずきんの方に一歩進みます。
「なっ……」
 思わずあとずさる赤ずきんちゃん。
「ふふふ、いつもと違った服もかわいいね」
「なななな、何を言っておるのだ」
「だからね。僕って、好きなものは先に食べちゃう主義なんだ」
「こ、こら、なんだその手は。私の許可なくさささ、触るでない」
「ふーん、じゃ、許可さえあればいいんだ」
「だ、だから触るなと……ひっ」
「どう? 良くない?」
「や、やめろ……あぁっ」
「もっと触って欲しいとか思わない?」
「だ、誰が……やんっ……」
 頭に被っている頭巾と同じくらい顔を赤くした赤ずきんちゃん。息もだんだんと荒くなってきました。
「そそそ、そうだ。ここで猟師が助けにくるのだな。たしかそういう話だ。これは」
「……歴史はね。変わるんだよ」
 おばあちゃん、これでもかという笑顔。
「大体ね、本来なら君を食べちゃうのは狼なんだから。それに比べたらずっといいと思わない?」
「そ、そんな……んっ。じゃ、じゃぁ狼は一体……ひゃん!」
 崩れ落ちる赤ずきんちゃん。
「ふふふ、立ってられないほど気持ちよかったんだ」
「はぁ……はぁ……そ、そんな訳では……」
 真っ赤になった顔を背ける赤ずきんちゃん。と、振り向いた先にあるものが目に入りました。
「……厚志よ……」
「ん、どうしたの?」
 ゆっくりとおばあちゃんの方を向く赤ずきんちゃん。その目は、怒りに燃えていました。
「あれは……なんだ?」
「あれって……あっ!」
 赤ずきんちゃんが指した方向にあったのは、顔を真っ赤にして目を潤ませて転がっている狼さんでした。もちろん服は着ていません。
「あ、あはは……ほら、狼が襲ってきたから先にやっつけちゃった」
 おばあちゃん、笑顔。ちょっと引きつってます。
「ならば、何故服を着ていない?」
 正確には靴下だけ履いています。マニアックです。
「そ、それは……そ、そう。向こうが襲ってきたところをカウンターで」
「厚志。そなたは私のカダヤだな」
「は、はい……」
「確かに他の女に近づくなとは言った。だからといって男に走るとはな……」
「ち、違うよ。女の子の方が好きだよ!」
「じゃあ男もOKということだな?」
「え、そ、その……」
「しかも先程、そなたは『好きなものは先に食べちゃう主義なんだ』と言ったな……。この私より瀬戸口なんぞを先に食ったということは……」
「そ、それは、タイミングの問題でっ」
「やはり食ったのだな」
「ぁ……その……」
 さっきから誘導尋問にひっかかりまくりのおばあちゃん。
「証拠はそろった。自供も得られた。さて……覚悟はよいな」
「か、覚悟って……そ、その青い光はなにっ?」
「安心しろ。一撃で決めてやる。感謝するがよい」
 赤ずきんちゃんの足元を中心に光が描かれていきます。ゆっくりと動く両手には光の残像。その残像の軌跡が複雑な図形を描いていきます──精霊回路。
「ごめんなさい! もうしません!」
 土下座するおばあちゃん。
「遅い。一度起動した精霊回路を途中で中断することはできん」
「そ、そんなぁっ」
 赤ずきんちゃんの両手が胸の前でまっすぐに伸ばされました。組み合ったその手に光が集中していきます。
「あああ、ほんとにもうしません! ちゃんと舞のことだけ見ます! エッチも控えます! 部屋の時計の電池も替えますから」
「ひ・か・り・に・なれえぇっっっっっっっ!!!!!!!」
 精霊手。
 ゴッドスピード、速水。

 一方その頃。
だだっぴろい南極点。そこで猟銃を肩にかけた浴衣姿の中年がいた。 坂上久臣 自称二十歳。世界の方向音痴と言われた中年──

- fin -

あとがき


 感想などありましたら、 掲示板 か メールでお願いします。
 また、下記のフォームでも送れます。
 お名前:
 E-Mail: ※必須ではありませんが、書いていただければ必ずお返事します。
 URL: ※Webサイトをお持ちでしたら教えてください。
 気に入った点があれば教えてください: 登場人物 ストーリー 文体 セリフ 設定 その他
 コメントがあればお書きください。厳しいご意見も大歓迎です。
  
 コメントをWebで公開したくない場合はチェックしてください

文月の本棚: ガンパレ シュガー 灰羽連盟 マリみて アカイイト・アオイシロ アイドルマスター その他 オリジナル
表紙 PC 小説 不定記 伝言板 Gift リンク about