ガンパレード・マーチ SS
君が望むガンパレ

アカネマニアックス編

「プール?」
「うん。舞が行きたがってたんだけど……どう?」
「精華は?」
「うちは……厚志君が……行くなら……」
「よし、行こう!」
「うん!」

 日曜日。今日はプールデートの日だ! まだ4月だとかそういうことはとりあえず気にしないでおこう。
 足取りも軽く待ち合わせの校舎前に向かう。と、そこには先客がいた。
「……誰だ? 精華でも芝村でもないし?」
 女子高の子だろうか? だが、それにしては背が低いし、体つきも子供っぽい。新井木さんかとも思ったけど、肩まで伸びたクセっ毛は明らかに違っていた。髪型だけなら加藤さんに近いかな。赤いミニスカートがより子供っぽさを強調している。
 ふと、その子が顔を上げた。そして、僕のほうへと歩いて来る。
 じーっ。
「な、何かな……?」
 不躾な視線(ビームの色:無色)が痛い。顔は結構かわいい──美少女、というのがぴったりくる──のだが、目が怖い。
 たっぷり10秒はにらまれた後、その子は言った。
「あんたが速水厚志?」
 ……顔に似合わない、低い声で。

 空は雲ひとつなく晴れ渡っていた。この分なら気温はだいぶ上がるだろう。絶好のプール日和になりそうだ。
「……何、目をそらしながら一人でぶつぶつ言ってるんだよ、こいつは」
 あー、精華の水着姿、楽しみだなー。
「おい」
 こう、両手で胸のあたりを隠しちゃったりしてさ。その恥らう姿がまたかわいいんだろうなぁ……。
「返事がないなら、金輪際姉さんとは会わせないぞ」
 ……お父様、お母様、厚志は今、人生最大のぴんちかもしれません。助けてド○○もん。
「厚志く〜ん、ごめんなさい〜。遅れちゃって〜」
 救いの女神、参上。ああ、まだ神様は僕を見捨ててはいなかったんですね!
「大丈夫だよ、精華。そんなに慌てなくても。僕も今来た所だし。あ、芝村も来たんだ」
「芝村に挨拶はない」
 相変わらずだ。今ではもう「これが彼女なりの挨拶だ」という認識だけど。
 じゃぁ行こうか、と声をかけようとして、精華と芝村が同じ方を見ているのに気が付いた。視線の先にいるのは……。そう、あの子だ。
「あ、あの〜、精華さん、芝村さん?」
 しばし沈黙。っていうか、硬直?
 先に口を開いたのは、芝村だった。
「……何をしている、茜」
そして精華。
「……なにやってるべさ」
そして、アカネと呼ばれたその子。
「女装でもすれば連れて行くと言ったのは姉さんだろっ!」
「な、なったらこと言うさ!」
 すると、その子はスカートのポケットから、銀色の棒状の物を取り出し、カチッとスイッチを押した。
『……本当に明日、プールに行くのか?』
『……あんたも行きたいわけ?』
『だ、誰が!』
『そうねぇ……女装でもすれば連れて行ってあげるわよ』
 カチッ。
 あ、ボイスレコーダーだったのか。
 ……って、今の会話、何?
「という訳だ」
「だからって! ほんとに女装するなんて思わねさ!」
「姉さんが男とプールに行くなんて言うからだ!」
「うちが誰とプール行こうが、うちの自由やろ!」
「あ〜あ〜、やだね〜、色ボケ女は」
「誰が色ボケよ、このヘンタイ!」
「何がヘンタイだよ!」
「女の格好して、それがヘンタイじゃなかったら何だっていうのさ!」
「姉さんが最初に言い出したことだろ!」
「だからって、ほんとに女装するなんて思わねさ!」
 ……なんか、すご〜く不毛になってきた気がする。
「あの〜」
「厚志君は黙ってて!」「貴様は黙ってろ!」
 見事なステレオ放送。
「……皆の者、聞け!!」
 そこに、芝村の一喝が響き渡った。ぴたりと口喧嘩を止める二人。
「まず、事情を説明したほうがいいだろう。厚志も困っているぞ」
「あ、そ、その……ごめんなさい、厚志君」
「けっ。猫かぶりやがって」
「茜、無駄口を挟むな」
「はいはい」
「まずは、自己紹介が必要であろう」
「あ、うん。あのね……、弟の、茜大介です」
「おとうとぉ!?」

「……ってことは、義理の弟だけど、旧姓を使ってる、と……」
 そういうのはアリなんだろうか……。
「そういえば、芝村は彼のこと知ってたの?」
「以前、精華の家に行ったとき見たことがある」
「で、なんでそんな格好してまでついてくるのよ」
「姉さんと付き合う男ってのがどんな物好きな奴か見てみたくてね」
「物好きって何よ!?」
「……で、評価の方はどうなのだ?」
「う〜ん。そうだなぁ……」
 じろじろじろじろ。。ぅぅ、そんなに見つめられるとなんか恥ずかしい。
「8点 7点 8点 9点 9点 8点 7点 9点! 合計65点!」
「ちょ、ちょっとぉ!」
「合格までもう一息。父さんに報告するには少し厳しいかな」
「ほ、報告ぅ!?」
「大介! いい加減にするさ!」
 そんな精華の声も聞かず、茜は僕の耳元で言った。
「いいか。本当の姉さんは、きっと、お前の知らない姉さんだぞ」
「はぁ?」
「別れるなら今のうち……」
「大介! 何言ってるべさ!」
「ほら、怒ると怖いぞ」
「…………」
 僕の知らない精華のことを知っている、そんな彼が少しうらやましかった。
「もう、、置いてくわよ〜」
 でも、彼女はここにいる。あせる事はないか。時間はたっぷりあるんだし。ゆっくり、彼女のことを知っていくのも悪くない。
 4人でプールに向かって歩き出す。
「しかし……」
「何だよ」
「よく似合ってるよね。最初、ほんとに女の子かと思ったもん」
「言っとくが、まったく嬉しくないからな」
「でも、そのスカートなら、ご自慢の脚が見せられていいんじゃない?」
 精華が冗談交じりに言った。と、茜が足を止めた。
「こら、急に止まるな」
 茜はじっと自分の足元を見て、しばらく考え込んでいた。
「……大介?」
 と、ただでさえ短いスカートのすそを持ち上げるた。見えるか見えないかぎりぎりな感じに。
「……この方が似合うか?」
「「「本気で考えるなっっっ!!!」」」

 11時21分。茜大介ノックアウト。決まり手:三方同時ツッコミ。

── to be continued...? ──

あとがき


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