ガンパレード・マーチSS
嫌われる理由

 僕は速水厚志。一週間前に、ここ熊本の5121小隊にやってきた。
 ここの人たちは、とても個性的──悪く言うと、アクが強い──人たちばかりだ。それでも、なんとなくみんな仲良くやっているみたいだ。ただ一人を除いて。
 芝村舞。僕と同じ、士魂号3番機のパイロット。3番機は複座型で、パイロット二人必要だ。そして、二人の息が合っていないとその能力は十分に発揮できない、らしい。だから、僕は芝村さんと仲良くしようとしたんだけど……。

「……なんかさ、芝村って、感じ悪いよな。」
 そういったのは滝川くん。士魂号2番機のパイロットだ。
「そんなこと言わないで……仲良くしようよ」
「いや! あいつ、かなり本格的におかしいんだぞ!」
「そ、そりゃちょっと変わってるとは思うけど……」
「……だ、か、ら。芝村と付き合うなって言っているだろ? あいつ、マジでやばいって。」
 滝川くんは芝村さんに恨みでもあるのかな? 昔いじめられたとか。

「じゃあね、芝村さん。また明日。」
「うむ。」
 放課後は仕事の時間だ。僕たちにまだ出撃命令が下ったことはない。でも、それがいつ来てもおかしくないことはわかってる。だから、授業が終わった後は自分の所属部署の仕事をしなくちゃならない。勝つために。生きるために。
 今日の分の仕事を終え、ハンガーを出て階段を下りる。そこに、善行委員長が立っていた。
「やぁ、速水君。仕事の方はどうですか?」
「はい、委員長。順調です。」
「そうですか。いいことです。……にしても、芝村さんと話してあなたは、よく、頭に血がのぼったりしませんね……。どうも……ね。狙っているんだか、地なんだか……。」
「あの……芝村って一体……?」
「芝村の一族ですか…。いや、うちの芝村も立派な芝村ですよ。」
「それって……」
「……芝村は血では増えないと言います…。あなたまで、世界を敵に回すことはないでしょうね……。」
そう言うと、委員長はどこかに行ってしまった。世界を敵に回すって、どういうことだろう……。

 次にその話を聞いたのは、整備主任の原さんからだった。
「この間、あの芝村さんと話してなかった? ……関わり合いにならないほうがいいわよ。あの人の実家、悪い噂しか聞かないわ。」
「でも……実家で悪い人がいたとしても、芝村さんがそうとは限らないでしょ?」
「……芝村のお姫様ね……吐き気がするわ。」
そういうと、彼女は足早に僕の前から去って行った。いや、それは……ちょっと……言い過ぎ……だと、思う。

「芝村には近づくなよ。地獄に落ちるばい。」
「中村君までそんな事言うんだ……。」
「芝村につきあって、芝村の地獄に落ちるつもりね? さっさと別れなっせ。」
「中村の言う通りだ。」
「若宮さん……。」
「腐ったリンゴは周りのリンゴも腐らせます。お互い、腐らないようにしたいもんですな。」
「そんな病原菌みたいに言わなくても……。」
「病原菌か。確かに近いばい。自分が感染しとることにはなかなか気づかんね。」
「うむ。自分の事というのは意外と分からないものだからな。」
 僕も自分の事が分かってないのかな? いや、そんなことないと思うけど……。

「わたくし、芝村さんの事はあまり好きになれません。あの無神経で堂々とした態度。なんて傲岸で破廉恥な。」
 今度は壬生屋さんか……。
「最近、芝村さんと一緒に仕事をする事が多いようですね……。」
「そりゃ、3番機のパイロット同士だからね。」
「……芝村の臭い匂いが移っていませんか。ほんとに……不潔です。」
 そう言うと壬生屋さんは僕を避けるように去って行った。
 僕は何も言い返せなかった。だって……多分、本当の事だから。

 決めた。今日こそ芝村さんに言おう。僕の気持ちを、伝えよう。

 休み時間。
「芝村さん、昼休み時間ある?」
 芝村さんの周りには誰も近づこうとしない。だから、話を聞かれにくいのは好都合だった。
「昼休みか。ふむ、問題ないが。今では問題があるのか?」
「う、うん、ちょっと……。」
「まあよい。昼休みか。場所はどこだ。」
「屋上でいいかな? あそこならあまり人が来ないから。」
「う、うむ……分かった。まかせるがよい。」

 そしてお昼休み。僕と芝村さんは屋上にいた。
「……何の用だ。はやく言うがよい。」
 心臓が下手なダンスを踊っている。喉がカラカラだ。
「あ、あのさ……」
「な、なんだ……」
「芝村さん……」
「……」
「……お風呂、入った方がいいよ。」
…………………………
……………………
………………
…………
……
 次の瞬間。
 芝村さんの拳が音速を超えて迫ってくるのが見えた。
 ……僕の意識は、そこで途絶えた。

- fin -

あとがき


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