マリア様がみてる SS
ソックスハンター外伝 覚醒の日

「靴下?」
 ここはおなじみ薔薇の館の2階。
「はい。4時間目の授業の後、クラスメイトの桂さんの靴下が見当たらなくて、探すのを手伝ってて……」
「それで、昼休みは来れなかった、というわけね」
「はい……」
 放課後。祥子さまは、昼休みに祐巳が薔薇の館に来なかった理由を尋ねていた。もっとも、特に仕事があるわけではないので来る必要は無かったのだが。
「まったく……それならそうと、連絡ぐらいよこしなさい。志摩子もいるんだし」
「はい、お姉さま」
 そういって祐巳のタイを直す祥子さま。いつもの薔薇の館の風景である。
 ちなみに、ここにいるのは、紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)、白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)、祥子さま、令さま、そして祐巳である。
「靴下……」
「どうかなされたんですか? 紅薔薇さま」
「祐巳ちゃん、4時間目の授業って、なんだったの? 靴下が無くなるなんて」
「あ。体育で柔道だったんですよ」
「なるほど。それなら靴下脱ぐわよね」
「ええ」
 その時、どたどたどたとかなり乱暴に階段を駆け上る音が聞こえた。そして、ビスケットのような扉が勢いよく開かれる。
「由乃さん! どうしたの?」
「ごきげんよう、みなさま……令ちゃぁん!」
 令の姿を見るなり、抱きつく由乃。呼び方が「お姉さま」でなく「令ちゃん」であるあたり、かなり動揺しているようだ。
「今日は紅も黄も熱いねぇ」
 白薔薇さまがニヤニヤしながら言った。
「どうしたの、由乃」
「靴下が無くなっちゃったのぉ!」
 また、靴下。
「せっかく令ちゃんが編んでくれたのにぃ……」
 ……しかも、令さまのお手製ですか。
「わかったわかった。また作ってやるから。泣かないで」
「うん……」
 どうにか落ち着きを取り戻す由乃さん。令さまも大変である。
「そうだっ、あのね、最近ブラがちょっときつくなってきちゃって……」
「……はいはい。じゃ、そっちもついでに作ってやるよ」
 ……手作りブラですかっ!?
 っていうか、令さま、どうやって由乃さんの胸のサイズを……よそう。考えると怖いことになりそうだ。
 そんな中、紅薔薇さまはなんだか難しい顔をしていた。
「まさか……」
「……考えすぎだって、蓉子」
 そういう白薔薇さまもなんだか様子が変だ。「蓉子」なんて名前で呼んじゃってるし。
「そうね。とり越し苦労だといいんだけど」
 そういってため息をつく紅薔薇さま。
 そして。紅薔薇さまの不安は的中するのだった。

「……というように、靴下の盗難届が、すでに何件も上がっています」
 次の日の放課後の薔薇の館2階。志摩子さんの報告を、薔薇さま方は真剣な顔つきで聞いていた。
「どう思う? 白薔薇さま、黄薔薇さま(ロサ・フェティダ)
 紅薔薇さまが尋ねる。尋ねるというよりは、同意を求めている、そんな感じだった。
「こりゃぁ……確実だろうなぁ」
「私も白薔薇さまに賛成。先手を打って損はないでしょう?」
 ……いったい、なんの話だろう。
「あの、何の話なんですか?」
 由乃さんが手を挙げた。
「そうね。あなたたちにはまだ伝えていなかったわね……山百合会幹部に伝えられる、あの伝説を」
「伝説って……」
「山百合会幹部はこの学校の生徒会執行部に相当する。これはいいわよね?」
 全員がうなずく。
「でも、その他に、もうひとつ、任された役割があるのよ」
「それが、『対ソックスハンター殲滅部隊』」
 …………なんだ、それわ。
「何それ、って顔してるね、祐巳ちゃん」
「私たちも、最初聞いたときは信じられなかったものね」
 黄薔薇さまがうなずく。
「世の中にはね。ソックスハンターという人種がいるの。文字通り、靴下を盗む連中よ」
「靴下なんか盗んでどうするんですか?」
「それはよくわからない。ただ、その筋では高く売れるらしいわ」
 自分の履いた靴下が高値で売られてる……はっきり言って、嫌だ。
「そして、一流のハンターの中には、靴下の匂いを嗅ぐことにより、人間離れした能力を発揮する者もいるらしいわ」
 ……それは、ただのヘンタイさんじゃないでしょうか、紅薔薇さま。
「ただのヘンタイなら捕まえて警察にでも突き出せばいいんだけど。『覚醒した』ソックスハンターを捕まえるのは至難の業らしいよ」
「はぁ……」
 全員、半信半疑といった顔つきだ。
「無理も無いわね。いきなり信じろと言ったって」
「実を言うとね、私たちもついさっきまで信じてなかったのよ」
「黄薔薇さま?」
「だって、実際にそんな連中、見たこと無いんですもの。事実、もう何年もソックスハンターは活動を潜めていたようなのよ。だから、ただの噂かと思ってた」
「何年か前にね。大掛かりな摘発があって、それでおとなしくなった、て聞いてたけど」
「それが再び活動しだした……」
 沈黙が場を支配する。三年生は真剣な面持ちで。一・二年生はいまだ狐につままれたような顔で。
「でも、なぜ山百合会幹部がその相手に?」
 志摩子さんがたずねた。
「いろいろあって、おおっぴらには警察も動けないらしいよ。上の方に圧力がいってるらしくてね」
「それに、そんな連中が闊歩してると知れたら、学校中がパニックになりかねない」
「だから、これは山百合会幹部のみに代々受け継がれている秘密なの」
「リリアンだけじゃないわ。多くの──特に、伝統ある高校の生徒会はたいていこの秘密を受け継いでいるはずよ」
 ……まじですか、薔薇さま方。
「わかりました。私も微力ながら協力させていただきますわ、お姉さま」
「私ももちろん手伝いますよ。剣道部の部員にも盗まれたのがいるんです」
 ……まじですか、祥子さま、令さま。
「祐巳、手伝ってくれるわね?」
「……はい、もちろんです、お姉さま」
 少々棒読み口調になってしまったのは仕方ないだろう。
 由乃、志摩子も賛成し、ここに、「ソックスハンター殲滅本部」が発足したのである。

 翌日から、山百合会によるソックスハンター狩り(なんか変な言い回し……)が開始された。
「今までの被害状況を見ると、体育での柔道、あるいは柔道部や剣道部などで、靴下を脱いだところを狙われているようです」
「じゃぁ、そこを見張るというのが手っ取り早そうね」
 というわけで、祐巳は、体育館裏の、更衣室入り口が見える場所に隠れていた。どうでもいいが、真冬の屋外での見張りは、寒い。
「どう、祐巳ちゃん?」
「あ、白薔薇さま。今のところ、特に不審な人は見当たりませんけど」
「そっか。はい、差し入れ」
「わ、ありがとうございます」
 白薔薇さまが買ってきたのはホットの缶入りコーンスープ。買ってきたばかりなのか、缶がまだ熱い。すぐには飲まずにポケットに入れる。
「でも、靴下なんて盗みたがる人、本当にいるんでしょうか?」
 祐巳はずっと思っていたことを尋ねた。いまだに実感が湧かない。
「う〜ん。そうだねぇ……」
 白薔薇さまは祐巳の方をちらっと見ると、祐巳の足元にしゃがみこんだ。
「祐巳ちゃんの靴下なら脱がしたいかな〜」
「ちょ、ちょちょちょ、白薔薇さま!!」
 白薔薇さまは靴下をずり下げたかと思うと、祐巳の脚に抱きついてきた。
「ん〜、祐巳ちゃんの太もも、すべすべで気持ちいい〜」
 あまつさえ、太ももにほお擦りまでしてくる。
 人気のない体育館裏で二人きりになったのがまずかった。抵抗しようにも、片足をがっしりつかまれている。だからといってもう片方の足で蹴り飛ばすわけにもいかず。祐巳ちん、ぴんち。
 その時。
「「白薔薇さま!!!」」
 どこかから聞こえる二人の声。ああ。この声は。
 間違えようはずも無い、祥子さま。と紅薔薇さま。
 気が付けば、白薔薇さまは祐巳の脚から離れ、缶コーンスープのプルタブに指をかけていたりした。
「やぁ、お二人とも、どうしたの?」
「やぁ、じゃないでしょう……まったく」
「白薔薇さま、祐巳に手を出さないでくださいとあれほど言いましたのに!」
「ほら。祥子怒らせると大変なんだから。来なさいよ。貴女には貴女の仕事があるんですからね」
「やれやれ。じゃあね、祐巳ちゃん」
 そう言って、白薔薇さまは紅薔薇さまに手を引かれて去っていった。
「全くもう……気をつけなさい」
 そういうと祥子さまは祐巳の足元にしゃがみこんだ。
「あ、あの、祥子さま」
 さっきの誰かさんと同じようなシチュエーション。しかも、祥子さまを見下ろすなんて、今までに無いアングル。蔦子さんあたりに見られたらここぞとばかりに写真を撮られるに違いない。
「服装の乱れは心の乱れよ。きちんとしなさい」
 そう言って、祥子さまは祐巳の靴下を元通りに上げて、すぐに立ち上がった。
「こんな所で寒かったでしょう。大丈夫?」
「あ、はい。さっき白薔薇さまから……」
 祐巳の台詞が終わらないうちに、祥子さまは祐巳を抱きしめた。
「きゃっ、さ、祥子さまっ?」
「こうすれば暖かいでしょ?」
「は、はい……。とても、暖かいです……」
 祥子さまの身体はポケットに入れたままのコーンスープより暖かく感じた。
 きっと、私も暖かいに違いない。だって、体温が上がってるのが自分でも分かるから──。
 そんな風にしていたから。祐巳も祥子も、更衣室から出ていく影に気づくことは無かった。

 一方そのころ。白薔薇さまを引っ張って歩いていた紅薔薇さまは、体育館をまわって、第2体育館の裏までやってきた。こちらも人気はない。
「こんな所に連れてきて、何をさせるつもり? 紅薔薇さま」
 だが、紅薔薇さまはその問いには答えず、白薔薇さまの方を向くと、おもむろに右足の靴を脱ぎ、そして、靴下を脱ぎだした。
「ちょ、ちょっと、蓉子! なにやってるのさ!」
「……靴下がほしいならいくらでもあげるわ。だから、祐巳ちゃんには手を出さないで……。それとも……私のじゃ、嫌?」
 少し上目づかいに聖を見つめる蓉子。聖はその視線から目をそらしつつ、いつもの軽い口調で言った。
「やだなぁ。靴下は冗談だって。中身だったら欲しかったけど」
「ふ〜ん」
 瞬間、周囲の気温が確実に3度下がったのを聖は感じた。
「あ、あの、蓉子……さん?」
「なぁに? 白薔薇さま?」
「……痛いんですけど」
 蓉子はニコニコしながら聖の耳を引っ張っていた。こめかみに青筋が立っているのは見なかったことにしよう。
「あらあら。それは大変ね。薔薇の館に戻ってよく見た方がいいわね」
 そう言って、蓉子は薔薇の館に向かって歩きだした。……聖の耳を引っ張ったまま。
「痛たたたたっ! 痛いってば! 蓉子!! 私が悪かったから!!」
「文句があるなら薔薇の館にいらっしゃい」
「そこに連行されてるんですけど、私……」
 聖さま大ぴんち。もちろん、これを止める人がいるはずもない。
 触らぬ紅薔薇さまに祟り無し。

 結局その日は何も収穫がないまま、解散となった。いや、体育館で練習していたダンス部から被害届があったので、むしろマイナスか。もっとも、体育館裏で見張っていたのが祐巳と祥子ということで、大体の事情を察した山百合会の面々は特に何も言わなかった。
「はぁ……」
 帰宅した祐巳は、ため息をつきながら着替え始めた。自分がしっかりと見張っていれば、新たな被害者は出なかったと思うと、自分が情けなくなる。
 私服に着替えて、ふと足元を見る。靴下。
 こんなものの匂いを嗅いで、なにが楽しいんだろう。
 ベッドに腰掛けて、片方の靴下を脱いで、目の前に掲げてみる。学校指定の白い靴下。もっとも、丸一日履いてたわけだから、それなりに汚れとかついてたりする。
「あ、穴開きそう……」
 ちょうど親指の当たりの布地が薄くなっていた。もうすこしよく見ようと顔のそばに近づける── それが失敗だった。
「うっ!?」
 この世のものとは思えない匂いが、祐巳の鼻孔を貫く。匂いは祐巳の感覚を破壊し、運動神経の活動をも停止させた。自分の体が重力に引かれて床に転がるのが分かった。
「祐巳ー、今なんかすごい音がしたけど? 祐巳? ……開けるぞ?」
 遠くから祐麒の声が聞こえる。祥子さまの声ならよかったのに。そんなことを思いながら祐巳の意識は急速に失われていった。

 翌日。昼休みの薔薇の館の2階。
「ごきげんよう。紅薔薇さま、頼まれてたの、持ってきたわよ」
「ありがとう。黄薔薇さま」
 黄薔薇さまが部屋に入ったとき、中にいたのは紅薔薇さま、白薔薇さま、令、そして志摩子の4人。令と志摩子がちょうどお茶を入れたところだった。
「令……白薔薇さま、どうしたの?」
「それが……私が来たときからこうでして」
 何となく小声で令に訊ねる黄薔薇さま。それと言うのも、妙にやつれているのだ、白薔薇さまは。手足に力が入ってないし、視線もはっきりとしない。
 それとは対照的に、紅薔薇さまは妙にご機嫌だ。肌のつやもいつもより良い様に見える。
「お姉様……これは個人的な意見なんですが……。あまり深く追求しない方がよろしいかと」
「そうね……。すごく面白そうなんだけど、私も命は惜しいわ」
 この会話が紅薔薇さまの耳に届かなかったのは、彼女が黄薔薇さまの持ってきた資料を真剣に読んでいたからである。
 その時、どたどたどたとかなり乱暴に階段を駆け上る音が聞こえたかと思うと、ビスケットのような扉が勢いよく開いた。
「祐巳が倒れたって本当!?」
「ごきげんよう、祥子。すこし落ち着きなさい」
「だって、お姉様っ!!」
「祐巳さんなら大丈夫って、さっき連絡がありましたよ」
「志摩子……」
「うちの担任の方に連絡がありまして。一応医者に行ったけど、特に病気とかじゃないみたいです。今日は念のため休むみたいですが……」
「そう……」
 明らかにほっとした顔を浮かべる祥子さま。ちょっと珍しいかもしれない。
「はぁはぁ……待ってくださいよ、祥子さま」
「由乃、どうしたの? 大丈夫?」
「ごきげんよう、みなさま。だって、『祐巳さんが倒れた』って言ったら、祥子さまが、突然走り出すんですもの。まったく、うちのお姉様じゃあるまいし……」
 どうやら、由乃が病気がちだったころの令ばりに慌てていたらしい。
「べ、別に心配してたわけじゃないのよ。ただちょっと気になって……」
「そういうのを心配って言わない?」
「と、ところでお姉様。何を読んでいらっしゃるのですか?」
 黄薔薇さまのツッコミを聞こえなかったふりをして、祥子さまは紅薔薇さまに話しかけた。
「あぁ、これ? ちょっとね。黄薔薇さまに独自ルートでここ最近のソックスハンターの動きを調べてもらったのよ」
 独自ルートってなんですか。とは訊けるはずもない。
「どうも、この周辺でソックスハンターが活動を再開したという情報は無いのよね。熊本の方で大規模な盗難事件と摘発があったみたいなんだけど……」
「あぁ、その件なら、犯人が分かりましたよ」
「「「「志摩子!?」」」」
 まったく何事もなかったかの様に、志摩子さんが優雅にお茶を飲みつつ言った。
「今朝、委員会の用事で早く来たんですよ。そうしたら偶然……。もしよろしければ、そこに行ってみません?」
 反対意見があるはずもなく。山百合会の面々は、志摩子の先導で外に向かった。

 たどり着いたのは校舎裏だった。校舎裏とはいえ、日が差し込んでいて意外と暖かい。そして、そこに1匹の猫が寝ころんでいた。
「あ、ランチ」「メリーさん」「ゴロンタ」
 3匹いるわけではない。なぜか学年によって呼び名が違うのだ、この猫は。
 そして、その猫の寝床は……。
「……靴下?」
「靴下よね……」
「ぁ、私の靴下あった……」
 猫は、靴下の上で気持ちよさそうに寝ていた。
「今朝、委員会の仕事でここを通ったんですよ。そうしたら、この子がこうやって寝ていて」
「でも、なんでランチが靴下ドロボウなわけ?」
 由乃が納得いかないといった感じで言った。
「そうねぇ……たまたまドアの開いていた更衣室にゴロンタがもぐり込んで、そこでたまたまひらひらしていた靴下に目をつけて、持ち帰った、ってところかしらね。ほら、猫ってなんかこう動くものに興味持つでしょ?」
「そういうものなんですか?」
「祥子は……猫なんか飼ったこと無さそうね。うちで昔飼っていた猫はそうだったわよ。それで、暖かかったから他にも見つけ次第盗んできた、と……」
「へ〜。頭いいんだね、ランチは」
「まぁ、これじゃぁ、どうしようもないわね。きちんと更衣室の扉は閉めること、って注意を促すぐらいかしら」
「私も部員に注意しておきます」
「でも、ほんと、ソックスハンターでなくて良かったわ。本当に出てきたらアレをするはめになっていたかもしれないと思うと……」
「蓉子、いやなことは考えた方が負けよ」
 アレとは何ですか……いや、もう何も聞くまい。
「あの、ところで、お姉様は?」
「白薔薇さま? あれ……?」
「まさか、まだ、薔薇の館?」
「……みたいね」
「じゃぁ、事件も片づいたことだし、いったん薔薇の館に戻りましょうか。白薔薇さまも復活させないといけないし」
 紅薔薇さまの一声で、山百合会の面々は再び薔薇の館に戻っていった。
 世はすべてことも無し、っと。

 一方そのころ。
「はぁ……………」
 われらが主人公、祐巳ちゃんは、自室のベッドで盛大にため息をついていてた。
「まさか靴下の匂いを嗅いでぶっ倒れました、なんて言えないしなぁ……」
 倒れた祐巳を発見した家族の手によって、大慌てで医者に連れて行かれた祐巳であったが、当然、異常は無し。倒れ込んだときの外傷もなく、ただとりあえず安静に、という医者の指示が出ただけだった。
 病気でもないのに寝ているのは、きわめて退屈である。
「まさか、倒れるほどすごい匂いだなんて……。毎日お風呂入ってるんだけどなぁ〜」
 あまりの情けなさに、またため息をつく。
「祥子様の靴下だったら、きっと匂ったりしないんだろうなぁ〜」
 退屈だと、変な考えが頭に浮かぶものである。
「ううん。むしろいい匂いがしそう……」
 祥子様の靴下……。
「どんなんだろうな……一度、嗅いでみたい……」
 もし、このとき誰か部屋にいれば、祐巳の目に昏い光が宿ったことに気がついたであろう。だが、平日の昼間の自室に、誰もいるはずもなかった。
 福沢祐巳。新たなるソックスハンター誕生の瞬間であった。

- fin -

あとがき


 感想などありましたら、 掲示板 か メールでお願いします。
 また、下記のフォームでも送れます。
 お名前:
 E-Mail: ※必須ではありませんが、書いていただければ必ずお返事します。
 URL: ※Webサイトをお持ちでしたら教えてください。
 気に入った点があれば教えてください: 登場人物 ストーリー 文体 セリフ 設定 その他
 コメントがあればお書きください。厳しいご意見も大歓迎です。
  
 コメントをWebで公開したくない場合はチェックしてください

文月の本棚: ガンパレ シュガー 灰羽連盟 マリみて アカイイト・アオイシロ アイドルマスター その他 オリジナル
表紙 PC 小説 不定記 伝言板 Gift リンク about